世界的有名鼠との対決②
この日記、想像以上に反響が大きくて、嬉しいような怖いような(笑)。
誰かに怒られたらどうしようかとちょっとビビっておりますが、
「続きが読みたい!」
とのご要望にお応えして、昨日の続きをお送りいたします!!
(以下、大和優雅 2006年4月11日の日記)
世界的有名鼠との対決②(全3回)
あの悲劇の日から約10年。
その間オラは、DLはおろか、遊園地的なところに一度も行っていなかった。
オラの遊園地嫌いは周囲に浸透し、誰もオラを誘おうとはしなかった。
やがて、オラは大学に進学し上京した。
そこで人並みに恋をして彼女が出来た。
そして3月……オラの誕生日に、なんとその彼女はDLのフリーパスをくれたのだ!
「しまった!オラのDL嫌いを話しておけば良かった……」
せっかく買ってくれたので断るわけにも行かず、オラは20歳のバースデーに、再びDLを訪れることとなる……。
この音……この空気……、あの日と何も変わっちゃいない。
オラは彼女に 「怖い乗り物だけは乗らないよ」と言っておいた。
小4のあの日までは、遊園地に行くと平気でどんな乗り物にも乗っていたオラだが、この10年の間にすっかり免疫をなくし、高速・高所にすっかり弱くなっていた。
その時彼女は 「じゃあ並ぶのは付き合って」と言った。
オラは快く了解し、彼女が一番乗りたがったスプラッシュマウンテンの列に並んだ。
並んでいる間、オラはずっと自分の財布を握りしめていた。
オラの手汗でびっしょりと濡れている財布を見る度に、あの日の出来事がトラウマになっていることを痛感した。
やがて、順番が来た。
オラは 「じゃあ行ってらっしゃい」と言って列から離れようとした。
すると、 「え?ホントに乗らないの?」と 彼女。
「???オラは乗らないと言ったはずだが?」
「本気?……じゃあ私も乗らない!」
はあ? いったいどういう理屈なんだ……。
「君は乗れよ。君が乗らないなら、何のために何時間も並んだのか分からないよ」
「じゃあ、あなたも乗ってよ」
オラはついにブチ切れた……。
オラは彼女を大声で罵倒し、早足で列を逆行した。
後ろから彼女が追いかけてくる。
呼び止める声の雰囲気から察して、泣いているのは明らかであった。
それでもオラは振り返らず、どんどん列を逆行し、くそやかましいDLの平地へ降りてきた。
そこでようやく振り向いたオラは
「オラはもう帰る。遊びたけりゃ一人でどうぞ」
そう言い残して出口へ向かった。
しばらく歩いた後で振り向くと、彼女はDLのど真ん中にうずくまって泣いていた……。
それでもオラは戻らずに、出口に向かって歩き続けた。
10年前の悲しい思い出に囚われて、その日のオラはいつも以上にナーバスになっていたのだ……。
そして、オラが出口にたどり着いたとき、そこには、忌まわしきあのスーパーネズ公、ミッキー陛下が子供達とお戯れになっていた……。
「野郎ゥゥ!!」
オラは掴みかかりたい衝動にかられたが、やめた。
「窮鼠猫を噛む」の言葉もある。
オラはミッキーとのトラブルを避けた。
ところが……。
なんとミッキーの方からオラに駆け寄って来やがった。
人を小馬鹿にしたようなあの笑顔で、オラの顔をのぞき込んでくる。
たまらずオラは、睨みをきかせてこう言った。
「このネズミ野郎!オラはテメエが大嫌いなんだよ」
ミッキーは薄ら笑いを浮かべたまま、驚いたような動きをした。
その後、何故か何度かうなずいて、オラに握手を求めてきた。
まさか、このオラを覚えているわけでもあるまい。
ネズミスターの場当たり的な対応に、オラはますます苛立った。
こうなったら10年前、オラをシカトしたことを問いただしてやる!
「オラは10年前……○×□△◎▽◇……だからテメエが大嫌いなんだよ」
ミッキーは、相変わらず薄ら笑いを浮かべたままだったが、まじめに聞いている風でもあった。
良く見ると、なるほど可愛い顔をしていやがる。
しかしオラは……ミッキーを容易に許すわけにはいかないのだ。
「わかったかこの鼠野郎!オラに構わねえでどっか行け!」
その言葉を聞いたミッキーは、コクンっと一度うなずいて振り向くと、あの体型からは考えられないスピードで走り去っていった。
「ミッキー……行かないで……」
その日、オラは結局一人で帰った。
彼女には、後日謝った……。
それはもうどうでもいい昔の話だ。
当時、これでもう二度と会うことはないと思ったミッキーマウス。
しかし、あれからさらに10年……オラは先週、彼と三度目の対面を果たしたのだ……。
(この話、明日最終回)